日別アーカイブ: 2015年7月1日

野上野自治会が会社設立

丹波市の一般廃棄物処理施設(クリーンパーク丹波)を受け入れ、3億円の交付金を生かした地域づくりを進めている春日町野上野まちづくり協議会が同地区自治会を株主とする、株式会社「ゆめの樹 野上野」(資本金5000万円)を設立した。丹波新聞ゆめの

かってナシ狩り園として栄えた地域性を引き継ぎ、原野化していた同地区の旧ナシ園にクリを栽培。収穫が見込める来年以降、時間をかけながらクリを活用した6次産業化を図り、数十年先を見越した地域づくりに取り組む。同社の上山義英社長は「何もしないままでは、いずれ限界集落になる。それを食い止めるのが我々の役目。何十年先まで続くような仕組みを作っておく必要がある。」と話している。
クリ園は約2ヘクタール。幅広い消費者のニーズに対応するため、収穫の時期が違う筑波や銀寄、丹沢など7品種850本ほどを植えた。安定した収穫ができるようになれば、加工品の販売や秋のクリ狩りに向けた観光客の誘致、都市部の百貨店での催し販売を行うなど、クリ栽培や加工を柱にした地域循環型のまちづくりを展開する。
クリ園は現在、同社が雇用した市内の農業経験者が管理しているが、軌道に乗れば新たな雇用にもつなげる。高齢化や後継者不足による農地の荒廃化を防ぐため、自治会内で栽培に適した農地を探し、さらにクリ園を広げる計画。地域産野菜を含めた反橋世などを設けることも視野に入れている。同地区にあるさまざまな地域資源と組み合わせたイベントの企画運営も検討。地元営農組合とも連携しながら、交流人口を増やして定住化を図りたい考え。
同協議会は5年前に設立。同自治会の地域資源を活用して利益を生み出し、自治会内に還元する仕組みを作ろうと協議を重ねてきた。ナシに比べて採算が見込め、丹波県民局や市、JAらが後押ししているクリ栽培に着目。米や小豆、黒豆など、すでに地域で栽培されている作物とともに加工する際の組み合わせを考え、より商品に広がりを持たせようと、6次産業化を構想に入れた。構想を練った同協議会の「経営・企画グループ」のメンバーがクリ加工の先進地である高知県四万十市や長野県小布施町を視察するなど、クリを核にしたまちづくりのノウハウを学んできた。
同社の柳川拓三専務は、「自立した地域の方向性となるような経営をしていきたい。『地域を経営する』というイメージ。『事業』『人』を残し、野上野地区だけでなく、ゆくゆくは丹波市が活性化するような取組みになってくれれば。」と話している。(丹波新聞より)